A.T. カーニーが新論考を発表:エージェンティックAIによる調達変革と支出最適化の可能性

エージェンティックAIとは

エージェンティックAIは、予測AIがパターン分析を通じて結果を予測し、生成AIがコンテンツを生成するのとは異なり、意思決定、タスク実行、成果最適化を通じて自律的に行動する点が特徴です。

調達にもたらされる変革と価値

エージェンティックAIの導入は、調達バリューチェーン全体の効率性向上に加え、有効性やユーザー体験の改善に寄与する可能性を秘めています。具体的な例として、契約リーケージ検知による支出の1~3%回収の可能性が挙げられています。これは、企業がすべての請求書を契約条件やリベートと照合できないために失われている損益インパクトを指します。また、交渉インテリジェンスは、人間では処理しきれない量の示唆や機会を特定できる可能性があります。

ただし、AI搭載という表示だけで大きな価値が生まれるとは限らないため、CPO(最高調達責任者)には、ベンダーの能力と価格を慎重に見極める役割が求められます。

AIの自律性と統制水準の設計

エージェンティックAIの導入において中心的な論点となるのは、人間の役割とAIに委ねる範囲の設計です。論考が参照するエージェンシー・フレームワークでは、AIが推奨し人間が実行する「支援型」から、AIが最小限の監督のもとで独立して行動する「自律型」まで、AIの自律性の幅が示されています。

どの段階で人間の関与を必須とするかは、調達部門と事業部門が判断すべき事項です。統制水準を決定する際には、リスク許容度、規制環境、組織の変化受容の準備状況という3つの観点を考慮する必要があります。高い自律性は大きな価値をもたらす一方で、現状からの大きな変化と重大なリスクを伴うため、倫理的なガードレールとハルシネーション(AIの誤情報生成)を防ぐ方法を理解し、安全に展開することが重要です。

AIの自律性フレームワーク

将来の調達担当者に求められる能力

調達部門の担当者がエージェントの管理者となる将来を見据え、以下の5つの能力が挙げられています。

  1. エージェント性能を年次ではなく週次または日次で評価・管理・改善する
  2. データ品質と独立したインサイト創出のオーナーシップを担う
  3. プロンプト・エンジニアリングを理解する
  4. 仮説シナリオを創造的に考える
  5. ワークフローをプロセスではなく「なすべき仕事」として再定義する

実装への時間軸とアプローチ

エージェンティックAI活用の効果が発現するまでの時間軸は、事業ごとに異なります。運用面での影響は多くの用途で12~18カ月で現れる一方、戦略的な変革に必要な品質と規模に達するには、約3~5年を要するとされています。

実装にあたっては、部門横断チームがアジャイル・スプリントで取り組み、エージェントの性能を反復的に改善していくことが推奨されます。データの完璧さを待つのではなく、用途ごとに許容誤差閾値を定義しながら、データ準備を進めることが重要です。また、技術面だけでなく、IT、事業、調達、人事部門を含むチームの準備が成功の鍵を握ると指摘されています。

CPOは、エージェンティックAIの導入をいつ開始し、どのように活用するかについて計画を立てる必要があります。成功する調達リーダーは、変革の可能性と実装上の課題の双方を冷静に見据え、データの準備状況、ベンダーの主張、組織能力について難しい問いを発するリーダーであると述べられています。

論考およびA.T. カーニーに関する情報

論考について

論考名:『エージェンティックAI革命――調達リーダーが今知るべきこと』(英題:The agentic AI revolution: what procurement leaders need to know now)
URL:https://www.jp.kearney.com/issue-papers-perspectives/the-agentic-ai-revolution-what-procurement-leaders-need-to-know-now

監修者:

  • 濱口 典久 シニア パートナー

  • 長内 正一 パートナー

A.T. カーニーについて

A.T. カーニー(グローバル・ブランド名:Kearney)は、100年にわたり世界有数の経営コンサルティングファームとして活動しています。世界40カ国以上に拠点を展開し、顧客企業が直面する困難な課題に対し、独創的な発想と実行力で変革の実現を推進しています。日本には1972年に進出し、主要産業のリーディングカンパニーを支援しています。
公式サイト:https://www.jp.kearney.com/