A.T. カーニー、不況下の半導体企業向けキャッシュ創出戦略を提言:資産売却を含む3つの手段を比較

半導体企業に求められるキャッシュ創出戦略

A.T. カーニー株式会社は、半導体業界のキャッシュ創出に関する論考「半導体企業は、不況局面でどのようにキャッシュを創出できるのか」を公開しました。インフレによる高価格帯電子機器の需要落ち込みを背景に、半導体企業が景気後退期に運転資本を確保し、回復期に迅速に対応できる柔軟性を維持するためのキャッシュ創出手段が整理されています。

本論考では、資本構成に関する手段、オペレーション改革、トップライン成長の3つの選択肢を比較しており、特に高い資本需要とまとまった初期キャッシュを必要とする企業にとって、資産売却を含むリキャピタライゼーションが重要である可能性を指摘しています。

3つのキャッシュ創出手段とその特性

半導体企業がキャッシュを創出する手段として、負債・株式発行などの資本構成に関する手段、効率性向上を目指すオペレーション改革、新製品やテクノロジーライセンスを通じたトップライン成長の3つが挙げられています。

負債発行や株式発行は迅速なキャッシュ確保に繋がるものの、それぞれレバレッジ比率の上昇や持分希薄化のリスクを伴います。設備、工場、事業ユニットの売却は、完全売却、一部売却、ジョイントベンチャー化など多様な形態があり、特に有形資産の多い半導体業界では有望な手段となり得ると考えられます。景気後退局面では、売却対象から最大限の価値を引き出すことが重要であり、地政学的リスクを考慮する場合もこの視点は変わりません。

不況局面で検討すべき3つのキャッシュ創出手段

オペレーション改革では、ダイの高密度化や安価な原材料の活用、歩留まりを高める製造イノベーションを通じて、高価な設備投資への依存度を低減できる可能性があります。また、後工程の受託製造業者との連携により、自社の設備投資や運転資本負担の一部をパートナーに移転することも、キャッシュ創出と戦略目標を同時に達成する手段となり得ます。

トップライン成長はキャッシュフローを増加させる最も健全な方法ですが、改善には時間がかかり、新製品が必ず収益化する保証はありません。コスト最適化も成果は比較的予測しやすいものの、現金化までには時間を要するため、初期キャッシュを必要とする企業は資産売却の検討が重要となります。

資産売却価値を最大化する評価手法

資産売却を検討する際の第一歩は、売却対象に関する包括的なデータの収集です。論考では、工場を例に、工場パフォーマンス、市場環境、知的財産、マネジメント、ケイパビリティという5つのデータ領域が示されています。

これらのデータに加え、評価にあたってはDCF分析、マルチプル法、資産ベース評価の3つの手法を相互に検証することが推奨されています。工場の状況、市場環境、利用可能なデータに応じて、特定の手法を評価レンジの基準とし、他の手法で補完的な指針を得ることが効果的です。

資産売却価値を最大化する準備5つのデータをそろえ、3つの評価手法を相互検証する

論考詳細

本論考の詳細は、以下のURLから確認できます。

本論考は、A.T. カーニーのシニアパートナーである西川 覚也氏とプリンシパルである竹井 潔氏が監修しています。

A.T. カーニーは、100年にわたり世界有数の経営コンサルティングファームとして活動しており、日本には1972年に進出しています。

A.T. カーニー 公式ウェブサイト