米屋の休廃業、3年ぶりに減少も「逆ザヤ」リスクが拡大 – 2025年度は8割が増益
経営環境の好転と背景
米屋の経営を取り巻く状況は、2024年夏以降に発生した「令和のコメ騒動」と呼ばれる深刻な品薄状態を経て、一転して好転しました。猛暑や少雨による不作、地震に伴う消費者の買いだめ行動などが重なり、コメの価格が高騰しました。この状況下で、初期段階で十分な販売量を確保できなかった米屋や、高値で仕入れて採算割れを起こした米屋は休廃業を余儀なくされるケースも見られました。
しかし、2024年秋以降に新米の流通が回復する過程で、スーパーなどの量販店では販売数量の制限が続きました。これにより、「価格を問わず確実にコメを買いたい」と考える消費者や外食業者が、2025年度に入り、独自ルートを持つ米屋に多く流入しました。在庫を保有していた米屋では、極端な品薄と価格高騰の影響で、古米やコメ騒動直前に仕入れた在庫米の販売単価が大幅に上昇し、予期せぬ利益をもたらしました。また、国産米に比べて割安な輸入米の販売も好調で、資金繰りに苦しんでいた米屋の存続を支える要因となりました。

過去最高の増益と潜在的リスク
2025年度の米屋の損益状況を見ると、4月時点で8割の企業が前年度からの「増益」を達成しました。これは過去20年間で最大の割合であり、「赤字」企業は初めて1割を下回り最小となりました。営業利益率の平均も、2025年度は約240社の平均で約5.0%に達し、前年度の1.8%から大幅に改善しました。これは、物流費の上昇や賃上げ原資の確保に苦しみ、長期間にわたり利益率が0%台で推移していた米屋にとって、必要な利益水準に到達したと言えます。
しかし、現在の好業績は、昨今の価格高騰が生み出した一時的な利益増による恩恵が大きいと見られており、経営努力による本質的な競争力の改善とは言い難い状況です。
「コメ余り」への転換と逆ザヤリスクの拡大
足元では、コメ価格の高止まりを嫌気した消費者の「コメ離れ」に加え、令和7年度産米の順調な収穫と市場供給が加わり、コメ不足から一転して「コメ余り」の様相を呈しつつあります。このような状況において、高値で買い集めた在庫が過剰になり始めている米屋も散見されており、コメ流通の現場では市場価格の正常化に伴う値下げを余儀なくされる「逆ザヤ」リスクが深刻化しています。空前の価格高騰が終焉を迎える中で、2026年度には米屋の廃業が再び増加する懸念が高まっています。


