AI時代における「2つの判断」と「2つの知識」の切り分けが重要:リクエスト株式会社がレポート公開
「2つの判断」と「2つの知識」による混乱
本レポートでは、判断を「前例にもとづく判断」と「事実にもとづく判断」の二つに、知識を「経験を必要としない知識」と「経験を必要とする知識」の二つに整理しています。AI時代における企業の混乱の多くは、これら4つの要素を混同していることから生じると分析されています。
特に問題視されているのは、本来は経験を必要とする知識であり、事実にもとづく判断が求められる仕事まで、前例適用や模範解答で処理しようとすることです。これにより、現場では以下のような状況が発生しやすくなります。
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理解は進むものの、判断力は向上しない。
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前例通りに進めても、以前ほどうまく進まない。
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手戻りや追加対応が増加する。
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困難な案件が一部の熟練者や管理職に集中する。
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業務は回っているように見えても、次の有効な手立てが見出せない。
これらの現象は、単なる能力不足ではなく、本来の成立条件に対する「誤配置」として捉え直されています。つまり、事実にもとづく判断と経験を必要とする知識で扱うべき仕事が、前例適用や知識教示だけで対応できる仕事として扱われていることが、企業停滞の根本原因であるとレポートは整理しています。
レポートが提示する5つのポイント
本レポートは、企業がAI時代において競争力を維持・向上させるための具体的な視点を5つのポイントに集約しています。
1. AI時代に必要なのは、4つの要素の適切な切り分け
企業が真に見直すべきは、どの仕事が前例にもとづく判断で進められるのか、どの仕事が事実にもとづく判断を必要とするのか、どの知識が教えれば活用できるのか、そしてどの知識が経験を通じてのみ習得できるのかを明確に切り分けることです。この切り分けによって、AIに任せるべき仕事と人が担うべき仕事、研修で教えるべきことと実務で経験させるべきことが明確になり、企業が本当に強化すべき組織能力が見えてきます。
2. 仕事を4象限で捉え、AIと人の役割を明確化
レポートでは、「2つの判断」と「2つの知識」を組み合わせ、仕事を以下の4象限で整理しています。
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第1象限:標準処理領域
手順、ルール、チェックリスト、定型説明、定型判定など。AIや自動化、標準化と最も相性が良い領域です。 -
第2象限:確認調整領域
手順は存在するものの、今回の適用条件や例外条件の確認が必要な領域です。誤適用を防ぐための事実確認が中心となります。 -
第3象限:誤配置が起きやすい領域
本来は経験知が求められるにもかかわらず、前例適用、模範解答、正解探しで処理されてしまう領域です。理解は深まるものの、判断力が育ちにくい傾向があります。 -
第4象限:人に残る中核領域
条件の違いを見極め、事実を確認し、判断を下し、その結果をもって基準を更新する領域です。AI時代において人が担う価値の中心となります。
特に、第4象限の仕事の量を増やすこと以上に、第4象限の仕事を第4象限として適切に扱うことの重要性が指摘されています。
3. 企業の停滞を招く「第4象限の仕事の第3象限化」
経験を必要とする知識と前例にもとづく判断の組み合わせである第3象限は、本来安定した配置ではないとされています。これは、第4象限で扱うべき仕事が、前例適用や模範解答、正解探しによって処理されてしまう「誤配置」の状態です。この誤配置が発生すると、フレームワークが正解となり、ケースが模範解答となり、原則が守るべきルールとなりやすくなります。結果として、理解は増えても判断力は向上せず、手戻りや追加対応、確認作業の集中、熟練者への依存が強まる傾向にあります。
4. 実務で重要ながら見落とされがちな「第2象限」
第2象限は、手順や基準が存在するものの、それを今回そのまま適用してよいかを確認するための事実確認が必要な領域です。顧客接点、管理職、企画職、現場監督、バックオフィスなど、多くの業務にこの領域が含まれます。制度や手順が整備されていても、何を確認しなければ誤適用となるのかが不明確であれば、制度は守られているのに現場は停滞し、手順通りに進めているのに手戻りが増加するという問題が生じます。この領域において、何を確認すべきか、どの条件差を見落としてはいけないかを明確にすることが、全体の品質と再現性を左右するとレポートは示しています。
5. 企業が最初に着手すべきは「自社の第3象限の特定」
レポートでは、企業がまず行うべきこととして以下の4点を挙げています。
- 自社の仕事を4つの象限で棚卸しする。
- 第3象限に該当する仕事を特定する。
- 第4象限の仕事において、判断が残るように設計する。
- 第1象限の仕事は徹底的にAI活用や標準化を進める。
重要なのは、「もっと考えろ」と指示するのではなく、どこまで事実を確認しなければ先に進めないのか、どの前提を置かなければ進めないのかを、仕事のプロセスに設計することです。
レポート公開の背景とリクエスト株式会社の取り組み
AI時代において「判断が重要」「経験が重要」という認識は広く共有されていますが、それだけではAI活用、人材育成、仕事設計といった具体的な議論は抽象論に留まりがちです。本当に求められているのは、判断と知識それぞれに二種類が存在し、それらが仕事の中でどのように組み合わさっているかを見極める力です。
リクエスト株式会社は、980社・33.8万人の働く人々のデータに基づく「組織行動科学®」を基盤とし、仕事の中で何が起こり、なぜそれが続くのかを事業環境、歴史、経験の観点から分析してきました。本レポートは、その分析から見えてきた「能力不足ではなく誤配置」という構造を、AI時代の仕事設計における重要な論点として整理し、各企業が自社の仕事を見直すための視点を提供するために公開されました。
この課題意識を持つ企業、例えば「AI導入後も難しい案件が一部の人に集中する」「研修や知識共有を増やしても現場で判断できる人が増えない」「前例通りでも手戻りや追加対応が増加する」といった状況に直面している企業にとって、本レポートは示唆に富む内容となっています。
判断デザインラボラトリーは、AI時代において企業の競争力を左右するのは、多くの正解を知る人材を増やすことではなく、状況の差を見極めて判断できる人材を育成し、その判断経験が仕事の中で増えるような仕組みを設計することであると考えています。AI活用量そのものだけでなく、人に残る判断業務を担える人材の厚みと、その判断経験が仕事の中で増加する構造こそが、これからの企業の対応能力を決定づける要因となるでしょう。
関連情報
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リクエスト株式会社 会社案内: https://requestgroup.jp/corporateprofile
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代表取締役 甲畑智康 プロフィール: https://requestgroup.jp/profile
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リクエスト株式会社: https://www.requestgroup.jp/
リクエスト株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:甲畑智康)は、「より善くを目的に」を掲げ、33.8万人の働く人々のデータに基づいた組織行動科学®を基盤に、7つの研究機関が980社を支援している企業です。組織行動科学®は、組織で働く人々の思考と行動が「なぜ起こり」「なぜ続くのか」を事業環境と経験から解明し、より良い再現を可能にする手段を提供しています。


